乳酸閾値ペースとは?

ランニングでは、筋肉がエネルギー源としてグリコーゲンを分解し、その代謝産物として乳酸が生成されます。

低強度の運動では、体は乳酸を十分に除去できるため、快適に長時間走り続けられます。

しかし強度が上がると、乳酸の産生が除去を上回り、血中乳酸濃度が急速に上昇します。これが乳酸閾値(LT: Lactate Threshold)です。

乳酸閾値ペースとは、この臨界点の周辺で持続できるランニングスピードのことです。

  • LTペース以下:比較的楽に長時間走れる。
  • LTペース付近:きついが、約30〜60分は維持できる。
  • LTペースを超える:疲労が急速に蓄積し、すぐにペースダウンや停止が必要になる。

トレーニングを積んだランナーでは、最大心拍数の約90%付近で起こることが多く、10kmやハーフマラソンのレースペースに相当します。一般的なランナーではより低い強度になることがあります。

なぜLTペースが重要なのか

LTペースは持久力レベルを示す重要な指標で、次のように役立ちます。

  • トレーニング強度を正確に設定する
    • 目的に応じて必要な強度ゾーンを、LTペースを基準に決められる。
  • レースパフォーマンスを高める
    • LTペースが上がれば、より速い速度をより長く維持できる。
  • 疲労を賢くコントロールする
    • LTを大きく超える時間を減らし、過度の疲労やケガのリスクを抑える。

PeakWatch はどのようにLTペースを自動推定するのか

実験室での乳酸測定は正確ですが、費用や手間がかかります。十分なラン履歴がある場合、PeakWatch は過去のランデータ、心拍の推移、体力状態を分析し、運動生理学モデルを用いてLTペースの範囲を自動推定します。追加のテストは不要です。

ラン履歴が十分でない場合は、VO2max と年齢・性別から既定のLTペースを推定します。

すでに自分のLTペースを把握しているなら、いつでも手動で入力できます。

LTペースの活用方法

PeakWatch は、あなたのLTペースを基にトレーニングのペースゾーンを算出します。

PeakWatch のカスタムラン・ワークアウトでは、各ステップの強度ターゲットをペースゾーンで指定でき、目的に合ったトレーニング刺激を得られます。

また、PeakWatch には複数セッションからなるランニングプログラムもあり、ペースゾーンの強度を活用して走力向上をサポートします。